luonto(ルオント)開発日記・01(2023年1月23日)
新春見本市でお披露目させていただきました、深山の新作・luonto(ルオント)。
もともとは2002年に誕生した、J white 丸という器がベースになっております。つまり、復刻です。うつわの形状はそのままに、今回は釉薬のカラーだけを変更しました。20年の時を超えて、今の時代に沿ったカラーを新たに開発する事に。
ちなみに、「J whiteのJってなんのJですか?」と先輩に聞いたところ、「JapanのJだよ!」と言われました。日本を代表する白さ、これが日本のメーカーが作り出す白さだ!…という意味をJapanに込めたんだそうです。
という訳で、白磁を得意としている深山ですので、白磁のうつわはそのまま残す事にしました。そして、その白磁の白さ=ホワイトに組み合わせて使えるようなカラーがいいな…と思い、いろんなカラーを探してみることに。
雑誌の切り抜きから気になるものを選んでみたり、お買い物先のお店で気になる器があったらメモを取ったり、ネットで最近のトレンドカラーを調べたり…。
様々な角度から検討した結果、ホワイトのほかにグレーとパープルが候補に挙がったのでした。
会議用の資料なので全てを掲載することはできないのですが、ザックリとこんな感じでカラーの持っているイメージを書き出していきます。もちろん、私がこのカラーを好きだから、というのも前提としてあるのですが、今のトレンドに合っているかなども検証しつつ、他スタッフの意見も参考に取り入れていきました。
ホワイト、グレー、パープルの3色が仮決定したあとは、ひたすらサンプルづくりです。
今回、グレーは新しく作った深山オリジナルのグレーなので、光沢にするのか、それともマットにするのか、色の濃さはどうするのかなども含めて、何個もサンプルを作って比較をして決めていきました。
パープルはもともとベースとなっているカラーがあったんですけれど、紫色の釉薬は色の具合が不安定なので、窯のどこの位置に置いて焼けば安定した綺麗なカラーを保つことができるのか…を検証するためにテストを何度も繰り返しました。
これが意外と大変なのです。地味に大変なのです。
焼き上がったサンプルはこんな感じ。
画像ではわかりにくいのですが、裏印のサイズや色も何パターンも組み合わせて、どの裏印がよいのかどうかもちゃんとテストしたんですよ~。本当に大変でした!
でも、焼き上がってきたうつわたちを眺めていると、自分で施釉したのもあるからか、可愛いが溢れております。
カラーについては色の濃淡にもこだわりましたが、薄い透明な釉薬にありがちな「釉薬の色ムラや濃淡」にもあえてこだわってみました。製品によっては、あまりにも目立つ色ムラは不良扱いとなり検品ではじかれてしまうのですが、luonto(ルオント)ではあえてその色ムラや濃淡も「うつわが持っている味」だということでご提案していきたいと思っています。
luonto(ルオント)はフィンランド語で自然という意味を持っています。
空、大地、地球なども広い意味で自然ではありますが、うつわを作る上でのこういう色ムラや濃淡なども「自然にできるもの」である、というメッセージとしてこのうつわに込めました。
同じカラーでも、それぞれのうつわに表情があり、味があります。そういう部分までひっくるめて楽しんでいただけたら幸いです。
開発日記、続きます。
商品戦略室
渡辺
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