
うつわリポート「余白までうつくしいフラットプレート suolo」
料理をうつくしく盛り付けるためのスタンダードなシェイプ。
イタリア語で土壌を意味する「suolo」は、シンプルな造形と、料理をひきたてる釉薬のコラボレーションが目を引くシリーズです。suoloの大きな特徴であるフラットな盛り面はシェフの創作意欲を刺激し、自由な盛り付けをかなえるシェイプとしてデザインされました。
26cmプレートは前菜からパスタ、盛り皿として幅広い料理に対応するメインのプレート。プロフェッショナルの器としてはもちろんのこと、家庭ではフラットな盛り面を活かして、複数のお料理を盛り合わせたカフェプレートとしての使用もおすすめです。16cmプレートはパンを置くブレッドプレートや小さめのケーキ皿として使用したり、取り分け皿としても活躍するサイズです。どちらもお料理を邪魔しないプレーンな形状のため、和洋問わずあらゆる料理と合わせやすい点が魅力のお皿です。

カラーは3色。左から灰白、銀狼、光琳。
スオーロに使われているカラーは焼成時に変化を起こす「窯変釉」という特殊な釉薬がかけられており、独特のモヤモヤとした表情がお料理を華やかに引き立てます。開発時にはお料理となじみが良く、そして高級感のある色に絞り込み、白・黒・渋めの金色の3色を選んでカラー展開しました。
灰白は粉雪が舞い降りた冬景色のような、かすかにグレーを帯びたマット調のホワイトです。ソースの色を際立たせたお料理や、色合いが繊細なデザートはグレイッシュなホワイトの色味と溶け合い、印象的なプレゼンテーションを演出することができます。


銀狼は荒々しいテクスチャーが特徴的な黒いカラー。表面は艶があり、照明の光が当たる空間ではパール感のある光の粒がうつわ上面に現れます。黒はどんな食材とも相性が良いうえに、メタルマークが目立ちにくいためプロフェッショナルのうつわとして使い勝手のよい1枚です。


光琳は高級感のある鈍いゴールドです。メインのお肉やお魚はもちろんのこと、彩度の低い金色は和食にも合わせやすい色味に仕上げました。注意点としては、酢の物や酸味の強い果物を盛り付けると化学反応をおこして変色する可能性があるため、他の2色に比べると盛り付けられるお料理が限定されます。


suolo開発ストーリー
今回新しくシリーズ化されたsuoloを開発するまでの経緯を代表の松崎に伺いました。
(松崎)今回導入したRCL-2は、グリーンライフ21(以下GL21)の取り組みの中で開発された、陶磁器用のリサイクル原料です。GL21は、窯元や原料製造会社、研究機関など窯業に携わる人たちを中心として、環境負荷の軽減を目標に立ち上げたプロジェクトです。私はその団体の理事長を務めている縁もあり、何らかの形で製品として残したい思いがありました。リサイクル製品の生産自体は、昨年からOEMで注文を頂きながら生産ラインを整えてはいたのですが、秋頃にホテル・レストラン向けのカタログを発刊する計画が出てきたタイミングで、思い切って業務用向けにシリーズを展開してみてはどうかと提案したことが開発のきっかけです。

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◆RCL-2とはどのような素材ですか?
RCL-2は使用済み食器を回収し、砂状に粉砕した物質が20%入った陶磁器の原料素材です。少しややこしく聞こえるかもしれませんが、ざっくりといえば粘土のなかに粉々に砕いた食器が20%入っている素材です。回収される食器のほとんどは各家庭で不要となった食器類を集めたもののため、当然ながら白色以外の食器も含まれています。純粋な土に比べれば色自体は少し濁りますが、必ずしもマイナスに働くわけではありません。実際、スオーロの灰白に使われている釉薬は本来は乳白色に発色しますが、リサイクル土の色と反応し、風合いのあるグレイッシュなホワイトに発色しています。
◆今回、新たにRCL-2を使用することを決めた理由はなぜでしょうか?
(松崎)環境負荷を低減することが目的ではありますが、使用済みの食器を回収し運ぶ際には少なからず二酸化炭素を排出しています。しかし、使用済みの食器が廃棄される際にはどこかの処分場に埋め立てられてしまいます。磁器化した器は土に還りませんので、少しでも回避出来ることを目的に、今後もRCL-2のような土を使用した製造を続けていきたいと考えています。
◆最後に、GL21の活動内容についてお伺いしてもよろしいでしょうか?
(松崎)GL21(グリーンライフ21プロジェクト)は1997年に陶磁器のリサイクルを研究する組織として立ち上がりました。その活動にはグッドデザイン賞などの受賞歴等様々な評価を頂いてきました。四半世紀を超える歴史は地道な活動ではありましたが、近年のSDG‘sの流れを受けて、これからの動きが注目されています。