今年は筆による加飾にチャレンジしたい(2025年1月27日)
新春見本市では釉薬の新色をお披露目するとともに、深山でできる加飾の技法についてもご紹介させていただきました。銅板転写という下絵の技法がほとんどなのですが、昔は一珍ですとか筆による加飾、吹き付けなどの技法も取り入れていました。残念ながら人手不足によりこれらの技法を取り扱うことができる職人が減ってしまったため、現在では細々とOEMで注文が入ったときにやっている…といった感じです。
でも、せっかくの技法なのでなんとか新しい世代にも受け継いでもらいたいな、という思いから現場の方々の協力も得つつ、今回は新春見本市に向けてのサンプル試作という形でそろえてみました。
まずは顔料選びから。定番の呉須(紺色)、黒っぽい呉須、茶系の茶呉須などを取り寄せて、どれが一番なめらかに線を引きやすいか、また、釉薬との掛け合わせでどんな表情が生まれるかなどをテストしたのですが、これがまあ時間がかかった、かかった!単純計算で顔料3種類×何通りもの釉薬というパターンを作らねばならないので、毎日ひたすら線を引いて釉薬をかけて焼く、の繰り返しでした。
なので、この3色の釉薬も単純に色で選ばれたわけではなくって、ちゃんと顔料との組み合わせを計算&検証したうえで選んだ3色なんですよ~。まったく同じように線を引いても、織部釉と飴釉では線の見え方が変わってきたりするので、すごく不思議です。でも、だからこそ面白い。
そして、この3色の釉薬が決まったあとにこの筆による線の加飾が生きてくる形状を選び、ここでも何度も何度も試作を行いました。果てしない道のり。
白っぽい濁りのある窯変釉をかけると、線がにじみつつも細く見えます。どこか柔らかな雰囲気です。
織部釉と飴釉は色の組み合わせとしてはもう相性バッチリなんですが、飴釉のほうが線はクッキリハッキリと現れ、織部釉のほうは控えめとなりました。ちょうど、「和食器のテイストのものを探してるんだよね~」というお客さんが多かったからか、新春見本市の会場でも多くのお客様にこの技法について問い合わせをいただき、頑張ってよかったなあと思いました!
そうそう、筆による加飾と書きましたが、一部のアイテムには筆ではなく手作りの藁の筆も使用しています。田んぼをやっている従業員さんに頼んで藁をわけてもらい(去年の秋ころの話)、やわらかい部分だけをつまんで抜き出し、それを束ねて手作りの筆を作るのです。めっちゃ手間がかかってます。
今すぐ荷口化!…というのはちょっと難しいのですが、今年中にはなんか形にしたいなあと思っているので、ご興味ある取引先のみなさまお気軽にお問合せください。サンプル作成なら対応可能です。これからもうちょっと顔料と釉薬の組み合わせについて検証しつつ、現場で対応できる職人を増やすために練習会などをする予定です。
商品戦略室
渡辺
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