食器をOEMで作りたいと思ったら:02(2024年5月28日)
前回からなんと1年以上も経過してしまいました。月日が流れるのはなんと早いものよ…。という訳で、OEMで食器を作ってみたいという方向けに詳しく解説をするコーナー、第2弾です。
前回は釉薬の色替えについて書いてみたのですが、すでにある既存の釉薬の中から色を選ぶスタイルについて書きました。今回はさらに深堀りし、釉薬の色を新しく開発してみたいという方向けにその手順を詳しく書いてみようと思います。
今年の新春見本市では、深山でまだ取り扱いがない新しいカラーの釉薬を開発しよう!というテーマのもと、私は光沢感のあるツヤツヤとした黄色の釉薬を開発しました。その時の手順を参考に書いてみますね。
まず、こういう色の釉薬が作りたい、というテーマを決めます。私は春の野に咲く、タンポポのような元気が出るイエローの釉薬を作ろうと思いました。そこから、透明感があるのか、それともマットな質感がいいのか、など細かく決めていきます。
OEMでご注文を入れてくださるお客さんの場合は、色見本(現物やパントーン)を渡してくださるので、それを参考に新色の開発を進めていきます。
で、釉薬屋さんからあがってきた色見本のサンプルがこちら。私たちの間では「ペタペタ」と呼んでいるものです。
同じ黄色でも微妙に色が違うの、わかりますか?どれも一緒じゃん!と思われるかも知れませんが、これがまた絶妙な配合で色合いが違っているんですよ~。で、気になる色の番号を釉薬屋さんに伝えてサンプルの釉薬を取り寄せます。
今回は気になる黄色が3色あったので、3色の釉薬を取り寄せましたが、どうですか?ペタペタだと色の面積が小さいので違いがわかりにくいかもですが、こうやって実際にうつわに施釉してみると全然違う事がわかります。
赤みがかっている黄色、青みがかっている黄色、薄い黄色、などなど…。面白いですよね。また、レリーフがあるうつわと、写真のようにレリーフがないのぺっとしたうつわでは色の見え方も異なってくるので、サンプルの釉薬を使って何度も何度も施釉をしていきます。
この段階では識別するために「イエロー24」みたいな簡単な名前をつけているんですけど、最終的にカラーが決まってきたら正式な釉薬名もつけていきます。私はわかりやすいように「レモンイエロー」とか「たくあんイエロー」とか、見た目から連想できる名前をつけちゃう事が多いです。
あと、お客さんのOEMで使う釉薬の場合はお客さんの名前や商品名を仮でつけたりもするかなあ。
この当時、同時進行で作成していた光沢感のある黒色の釉薬のサンプル見本(ペタペタ)も焼き上がりました。濃いめの黒色から、グレーっぽい明るい黒色まで幅広いカラーが揃っています。これもイエローと同様に、ここから気になるカラーを絞り込んで、サンプルの釉薬を取り寄せて施釉を行います。
できた。
オシドリの取り皿の素焼きに施釉してみると、こんな感じ。のっぺりしている部分と、レリーフがある部分、どちらの部分の確認もできる便利な形状です。光沢の出方だったり、色ムラの幅だったりを検証していきます。
写真には2枚しか写っていませんが、何枚も施釉して窯の中での位置によってどう変化が出るのかもきちんと調べます。窯の中の上と下だと温度が違ってきたりするので、色が違う…なんてこともありえるからです。
平たいお皿だけではなく、高さのあるものでも施釉をして検証します。これは茶白の朝顔煎茶碗ですが、同じ釉薬であってもお皿と高さのあるもの…例えば茶碗や土瓶などでは、印象が結構変わったりするからなのです。
こんな風に何度も何度もテストを繰り返し、新しい釉薬は完成していくという訳。
ちなみにこの光沢感のあるイエローとブラックは今のイチオシ(私的に)なので、ぜひOEMのご注文をお願いします…!
↑第1弾はこちらを見てね~
商品戦略室
渡辺
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