岐阜に関するモチーフを釉薬にしてみました(2025年1月14日)
先の新春見本市では、新しい釉薬や新しい加飾の技法を多くの方に見てもらいたくて、半年以上も前から念入りに準備をしていました。時々、それらしき記事をアップしたりもしていたのですが、改めて新春見本市の振り返りとして記事に残しておこうと思います。
岐阜色採集
深山がある岐阜県にちなんだモチーフを、そこから連想して様々な釉薬に変えて施したシリーズです。美濃焼がつくられている岐阜県。私たちもそんな岐阜県の中で毎日うつわづくりに励んでおります。美濃焼を通じてもっと岐阜県を多くの方に知っていただきたいなあ、と思って開発をスタート。
栗きんとん
岐阜の銘菓といえば栗きんとん。世間一般的に栗きんとんと聞いて、お正月のおせち料理の中に入っている栗きんとんを思い浮かべる方も多いと思いますが、岐阜県においては栗きんとんといえば秋に食べる和菓子のほうの栗きんとんなのです。こちらは透明感のあるつやつやとしたカラー。栗の皮をむいて、中から顔を出した栗の実のようなカラーに仕上げました。
栗きんとん パート2(新色)
栗きんとんを作ったあとに、どうしても質感の違う栗きんとんカラーが欲しい!と思い立ち、もう1種類の栗きんとんカラーも作っちゃいました。こちらは蒸したあとのホコホコとした質感の栗をイメージしています。白い結晶が混じっているマットな釉薬です。こっちのほうが実際の栗きんとんに近いかな。質感が。
鮎菓子
岐阜県をはじめとした東農地域で夏になるとよく出回る、鮎菓子という和菓子をイメージしたカラーです。鮎菓子ってご存じでしょうか?夏になると和菓子屋さんだけではなく、スーパーなどでも手に入るほどポピュラーなお菓子です。ふわふわなカステラ生地の色合い。できれば鮎の模様もつけたかったです。笑。
朴葉味噌(新色)
朴葉の上で焼かれる味噌の香りや色までもを再現した窯変釉。これ、塗って焼いただけで自然にまだら模様のような感じで浮き上がる味わいのある窯変釉なのです。今までの深山にはない色なので、新春見本市の会場でもサンプル依頼のご注文をたくさんいただきました。
五平餅
なんだか食べ物のカラーばかりが続いてしまいますが…。みんな大好き、五平餅をイメージしたこちらも窯変釉です。ちょっと鉄っぽい質感もあります。本当はもうちょっと赤っぽくなるはずだったんですけど、土との相性からなのか思ってたよりも茶色になりました。でもそこが五平餅っぽい。
長良川(新色)
新色です。今回の岐阜色採集の中ではお気に入りのカラーです。これも、マット釉に見せかけてなんだかじわじわとにじんでいるような風合いを出せる、ちょっと変わった窯変釉なんですよ。施釉するときの濃度の調節がすっごく難しかったのですが、いい感じに落ち着いてくれました。
鵜飼
これはギリギリまで悩んだのです。濃い黒色にするか、濃い紺色にするか。でも、黒色を作るなら岐阜白か信長かなあ、とも思ったので今回は鵜飼は紺色のイメージで。びっくりするほど濃い透明な紺色ですが、艶があるのになんだか落ち着いた雰囲気があります。
まくわうり
これは去年の新春見本市でデビューした光沢感のあるイエローの釉薬です。今年の新春見本市でも改めてご紹介したいな、と思って仲間入りさせました。これだけ発色がよくって濃いイエローって、なかなかありそうでないのです。そして、釉薬代も実はちょっとお高いです。笑。
富有柿(新色)
岐阜が発祥の地とされている富有柿。秋になるとたくさん出回るので私もよく食べています。そんな富有柿を釉薬にしてみたのですが、この岐阜色採集の中で一番高い釉薬が爆誕してしまいました。オレンジ系の原材料を使うと、どうしても他のカラーに比べて高くなってしまうんだそう。でも、こだわって調整を重ねただけあり、納得のいくオレンジ色ができました。OEMでのご注文をお待ちしております。
さるぼぼ
最後は岐阜県土産としても知られている、さるぼぼをイメージた真っ赤な透明釉です。紅白のうつわなどで使っている釉薬なのですが、正直、紅白のうつわ以外でなかなか出番がないので、何か他にしっくりとくる形状はないかしら、と探りながらのサンプル作成となりました。なかなか可愛いくないですか?こんなに真っ赤なポットって、ありそうでないかも。
岐阜色採集は全部で10色。すでに荷口として流れている釉薬もありますし、新春見本市で初お披露目だった釉薬もございます。これからもう少し調整を重ねる予定ですが、基本的にどの釉薬も荷口化OKなので、気になったカラーがありましたら遠慮なく深山までお問い合わせください。
商品戦略室
渡辺