
ウソみたいだろ。同じ釉薬なんだぜ。それで…(2025年4月16日)
サンプルを作成するときに、自分で施釉をするパターンと現場の職人に施釉をお願いするパターンがあります。理由は様々です。
- 急いで作成しないといけない時 → 自分
- 荷口でちょうど同じ釉薬で施釉をする機会がある時 → 職人
- 大きな皿やポットなど難しい形状の時 → 職人
- 新しい釉薬を試す時 → 自分
- 数が少ない時 → 自分
- 数が多い時 → 現場
こんな感じです。
最近はslope(スロープ)のポットの色替えの引き合いが多く、いろんな色の釉薬で施釉をしているのですが…。とあるベージュ系の窯変釉で塗ってみたところ、同じ釉薬なのにまったく異なる仕上がりに。
こちらは施釉を担当することになってまだ数年目の若手の職人が施釉したもの。この窯変釉はよく焼けた部分がちょっとこい茶色になる性質があるのですが、釉層が薄い部分も色が変わりやすいので、全体的に薄く塗ってしまったか、そもそも釉薬の濃度が薄かったか、という事が考えられます。決して失敗というわけではなく、こういう雰囲気を好まれるお客様もいるので別によいのですが、荷口で出荷する場合は統一させる必要が出てくるのでそこが課題ですね。
ちなみに私はポットや土瓶など高さがある製品を施釉するのはまだまだ下手なので、私が塗ってもこういう仕上がりになることのほうが多いです
一方、長年、深山で施釉担当として活躍してくださっているベテランの職人が施釉するとこうなります。同じ釉薬とは思えないほどの仕上がりです。全体的に釉層の厚みが均等に施釉できているので、口の先など一部分しか濃い茶色になっていません。私はまだこんな仕上がりになるようには施釉できない。お皿ならなんとかできるけど。
ポット、マジで難しいんよ。外側がきれいに塗れても内側が塗れないこともあるしコツがいるのです。
並べてみると違いが一目瞭然です。どっちがよくてどっちが悪いというわけではなくって、出荷する時にこれだけバラつきがあるのはさすがによろしくないので、あらかじめお客さんと相談して基準を設定し、色や仕上がりに大きな幅が出ないように気を付けております。
製品にもよりますが、左の雰囲気がいいというお客さんもいれば、右の仕上がりがいいというお客さんもいます。そういったお客様の希望にあわせて、きちんとものづくりをしていくことが大事。なので、毎日、窯をあけた時は現場の職人はそれぞれ製品の仕上がりをチェックしにいきます。
商品戦略室
渡辺
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