丸重製紙さんに工場見学に行ってきました・02(2023年2月22日)
岐阜県美濃市にある、丸重製紙さんの工場見学の続きです。
こちらの画像に写っているトロトロとした液体は、原料に混ぜる粘材です。これを原料に混ぜることにより、繊維が水中で分散・浮遊し、均一に絡み合います。
↑工場見学レポート・01はこちらから
前回は和紙の原料(もこもこ)が除塵されるところまでを書いたのですが、ここから別のフロアへ移動します。いよいよ原料から和紙へと変化する、抄紙という工程に移ります。
丸重製紙さんの一番の特徴と言っても過言ではない技法、「透かし」を支えている透かし型(シリンダー)。
通常は透かし型の製作は外注にすることが多いそうなのですが、丸重製紙さんでは内製化されております。そのため、さまざまなデザインの透かし和紙を自由に製造することが可能に。
この透かし型を使うと、この柄とこの柄の和紙をちょっとずつ作る、みたいな事もできるんですって!
わかる…わかります。
美濃焼も、深山のように鋳込みをメインとしていると、どうしても型が必要なんです。これはもう絶対に外せない設備投資ではあるのですが、コストもかかるものなので、できるだけ汎用性のあるもののほうが自由度って高くなるんですよね…。
フラットスクリーンで除塵された後の原料は、抄紙機に流し込まれ紙として抄き上げられますが、丸重製紙さんにはその機械が2台あり、それぞれ紙の抄き方が異なるんだとか。
和紙として抄き上げられた原料は、毛布に転写され圧搾や脱水をされながらドライヤー(乾燥機)まで運ばれます。
静止画だとわかりにくいと思うのですが、すごいスピードで和紙が移動していきます。毛布にくっついて移動しつつ、こういうローラーのあるところで方向転換していくみたいな。
ドライヤーにはりついている間に乾燥し、最後はロール状に巻き取られて完成です。
なんだかカットする前のバームクーヘンのような形をしております。美味しそうです(笑)。
完成したばかりの美濃和紙がこちら。普段、店頭ではこういう姿では見ないので、ちょっと不思議な感じがしますよね。
完成した美濃和紙が置かれた場所からまた少し移動をして、ここで美濃和紙は断裁されて出荷されていきます。
画像の右奥にある、「太鼓」と呼ばれる機械で巻き取られ、専用の大鎌でカットされるのですが、ここは人の手が入る工程のようで実際に見学もさせて頂きました。手作業であるからこそ、様々な厚さの和紙に対応が可能なんだとか。
また、手すき和紙職人さんから「手すき和紙の断裁のみ」注文を受ける事もあるんだそうですよ。
美濃和紙、または和紙の作り方、というとなんとなく「手すきの和紙」をイメージしていたのですが、やはり工場という事もあり、ある程度の工程はすべて機械におまかせできるような自動化もされているんだな~、と思いました。
ですが、その中でも「ここは人の手を入れる」という工程もあって、機械と人の手のバランスがとても良いような。
美濃和紙の歴史と伝統を大切に、手すき和紙に極めて近い和紙の製造工程を踏襲した和紙づくりを心掛けている丸重製紙さんのこだわりが随所に感じられる工場でした。
商品戦略室
渡辺
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