暮らしの器特集『日本茶のうつわ』
味、香り、色合い、温もり。
五感で楽しむ日本茶の器をご紹介いたします。
●目次:1.定番の白磁の茶器
2.機能的な茶器
3.色や柄の茶器
α.あとがき(茶器の作り方)
●1.定番の白磁の茶器
私たちが器を作る岐阜県瑞浪市は、40年ほど前まではアメリカやヨーロッパの洋食器ブランドから依頼をうけ海外で使用される白磁洋食器の生産を行ってきた地域ということもあり、ガラス質の多い白磁素材を1300度以上の高温で焼き、ガラスの様に滑らかな表面の汚れが付きづらく洗い落し易い白磁での食器生産を続けることで、その技術が歴史的に蓄積されたこともあり、現在でもこの技術を受け継ぎ生み出される白磁を基礎としてうつわを作っています。
こうした歴史的な背景から、素材の面からも安心してお使い頂けるのが白磁の茶器です。
そのなかで最初にご紹介するのは、miyama.の白磁茶器としては定番のロングセラーとなっているコロンシリーズ。ふっくらと平ぺったいこのフォルムで約320㏄入るのため煎茶碗で約4杯分、友人とお茶を楽しむ時間の中で、それぞれ一杯ずつおかわりができるくらいの容量です。日本茶の雰囲気と調和する籐ツルが付いている土瓶タイプとカジュアルにお使い頂けるティーポットタイプの2種類があるので、お好みに合わせてお選び頂けます。
その他にも、うつわの一部にストライプのレリーフが入って陰影が美しいポットのシリーズ鼎(かなえ)やぷっくりとしたフォルムの土瓶と煎茶碗のシリーズ一汁一菜(いちじゅういっさい)などがおすすめの白磁の茶器です。
容量としては300㏄から350㏄くらいで煎茶碗3~4杯分。マグカップでもたっぷり一杯分を淹れられる普段使いにちょうど良い白磁の茶器たちです。
●2.キチンとお手軽にお茶を楽しむ機能的な茶器『茶白(ちゃはく)』
次にご紹介するのは、岐阜県の日本茶産地『白川茶』の茶商『菊ノ園』さんと共に開発した、日本茶を丁寧に、でもお手軽に楽しむための茶器『茶白』シリーズです。
シンプルなフォルムにお茶の葉をモチーフとしたパターンを描いたこの茶器。急須の容量が煎茶碗2枚分の約160㏄と小ぶりで、基本的には一杯ずつを楽しむ器です。急須でのお茶の淹れ方は次の①から④の手順です。
まず煎茶碗が「湯さまし」と「計量器」の代わりになるので、適温でちょうど良い量でお茶を注ぐことができ、注いだ後、急須の内側が丸いので茶葉がしっかり対流して味わいを引き出します。加えて、毎回最後の一滴まで注ぎきる事で、淹れるたびに変化する日本茶の味わいを楽しむことができます。
後片付けでは、内側がつるりと丸くなっているので、茶葉をスムーズに洗い落とせます。
このあたりが、「日本茶をキチンと、でもお手軽に楽しむ茶器」の所以です。
そして、お茶を楽しむための工夫は煎茶碗にも!
煎茶碗は朝顔形(あさがおなり)という上に向かって広がっている形なので、お茶の香りが広がり易く、そして、内側は白色度の高い白磁として仕上がっているので、お茶の色合いを目からも楽しめます。
味だけではなくて、香りや色合い、その温もりなど、お茶をくまなく楽しむための茶器が茶白シリーズです。
●3.色や絵柄でお茶の時間を楽しむ茶器
最後にご紹介するのは、器の色合いや絵柄でお茶の時間を楽しむ茶器『七福』と『小茶事(こさじ)』です。
七福茶器はその名の通り、恵比寿、大黒天、福禄寿、毘沙門天、布袋、寿老人、弁財天の七柱をモチーフにした絵柄を、形も七角形で作り上げた茶器に白磁との相性の良い呉須(ごす)により染付で描いています。文様は、その姿を描いた「七福神染付文様」と打ち出の小づちや剣などそれぞれの柱の特徴的な要素を丸紋とした「七福丸紋染付文様」の2種類で、その愛らしい雰囲気が和やかなお茶の時間と調和します。
小茶事(こさじ)シリーズのポットは約220㏄の容量と小ぶりなので、一人でのお茶の時間でもちょうどよくお使い頂けますし、日本茶だけでなく、紅茶や中国茶でもお楽しみいただけます。色合いは定番の白磁釉、華やかな朱赤釉、落ち着いた黄瀬戸釉、爽やかな緑釉の4種類、いずれも硝子質の質感で明るい印象のお茶のうつわです。
いずれの器も、miyama.で大切に受け継いできた地域に根付いた素材や技法を基礎として、まずは美味しくお茶の時間をすごすことができる道具としての茶器を。その上で、心を満たすためのお茶に寄り添うことができる器としての茶器となるように想い作ります。
暮らしの器特集『日本茶のうつわ』最後までご覧頂きありがとうございました。こらからもmiyama.をどうぞよろしくお願いします。
(あとがき)miyama.の茶器の作り方
miyama.で生み出す茶器は『排泥(はいでい)鋳込み』成形という方法(下記1~5)で形づくられます。
- 吸水性のある石膏型に泥状の白磁土を注入する
- 泥が石膏型に触れている部分から硬化がはじまる
- 必要な厚みとなったら石膏型を反転させて余分な泥を流し出す
- 型の中で泥が固まるまで乾燥させる
- 型から乾燥したうつわを取り出す
型から取り出した後も、ポットであれば取っ手や注ぎ口を接着し、表面が滑らかになるよう仕上げるなどの工程が続きますが、そのほとんどを手作業で行います。ポットなどの茶器の製造は、型という響きや工場や産業という響きからは想像できな程、ほとんどの工程を手作業で行います。であるからこそ、器の仕上がりはその職人の技術や心持で大きく変化します。例えば、ポットの水キレの良さなど、そのデザインに加え手仕事で繊細に調整する事できちんとした道具となります。
そうした意味ではポットや土瓶などの茶器はmiyama.のものづくりの結晶です。手に取って頂く機会がありましたら、お茶を楽しんでゆっくりとした気持ちのひと時に、たまにで良いので、その器が職人の手を経て生まれ出てきたことをちょっとだけ思い出して頂けることがあったらとても嬉しいです。
(2020年11月17日)
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